2010年9月19日日曜日

2010/09/16(木)

916()
天気:晴れ
気温:30
風:南
波:穏やか
 今日から、鹿児島での7日間にわたる航海が始まった。今日はTri-Dog 1と海底ステーションとの音響通信の試験を行う。以前まではTri-Dogは、〝ランドマーク〟と呼ばれるアルミ製の音響反射材を利用して、それを基準点とした探査を行っていた。よって海底ステーションは今回の鹿児島航海が初の運用となる。
 
投入スタンバイのステーション

 ステーションは空中では100kg以上あるが、水中では浮力が働くため、約10kgの重量となっている。ステーションには直列に多数の浮力材が連結されており、これが大きな浮力を働かせる要因となる。

ブイを直列に装備したステーション

 しかし、このままの装備では海中に設置したまま帰還することができない。そこで音響切り離し装置を利用する。これは船上から海底に向けて特定の音波を送波することで、その信号を確認次第、装置のロックを解除することができるというものである。
 ここでは20kgの錘をロックしており、切り離すことで10kgの浮力を発生させることができる。このような原理でステーションは無事に帰還できる。ちなみにステーションは本日の午前中に設置したのち、明日の夕方まではそのままの状態を水深約80mで保つ予定である。

切り離し装置に設置された20kgの錘(設置するだけでも大変である)

浮力試験や切り離し装置の試験の後、海底へと投入されるステーション

 ステーションが設置された後は、Tri-Dogの潜航となる。浮力調整を完了後、所定海域で投入、潜航を開始した。Tri-Dogの前方にはALOCと呼ばれる音響通信装置が設置されている。これはステーションの上方にも設置されている。この対となるALOCの組を利用してTri-Dogとステーションは通信を行うことになる。

潜航を開始するTri-Dog(前方に見えるのがALOC

 ここで船上からもTri-Dogとステーションの現在位置を知るために、SSBLと呼ばれる音響装置が船に据え付けられている。ステーションの位置は安定して発見できていたが、Tri-Dogとの通信が成立せず、行方不明の状態が続き、若干の不安があった。ロボットは自律である以上、ミッションを達成した後は、無事に帰還するようにプログラミングされている。しかし、プログラムの異常もあり得るので船上からもモニタリングできている方が安心して帰還までの時間を過ごせることになる。

SSBLでモニタリング中

 Tri-Dogとの通信が成立せず、不安な状態も続いたが、所定時間にTri-Dogは帰還することができた。このログデータを解析することでTri-Dogとステーションの通信がどれだけの精度で行えているかを分析する。また、船上からTri-Dogを確認できない問題としてスラスタ(推進機)のノイズが関係している可能性があり、明日調査を進める予定である。

 今日から船内での泊まり込みのため、食事も船内で頂いた。食事の量も多く、7日間の航海のうちで同じメニューは出ないそうなので、バラエティに富んだ食事が楽しめそうである。

夕食の様子

 明日も、Tri-Dogとステーションの通信試験を行う予定である。今現在も、ステーションは海中に設置されたままの状態でいる。明日まで無事でいてほしいと思う。

  
本日の桜島(今日は噴煙も上げず、穏やかであった)
  
 次回から船内の様子も織り交ぜて伝えていければと思う。

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